親知らずの抜歯は上と下どっちが痛い?痛みの違いと知っておくべき6つのポイント！

「親知らずを抜くとき、上と下どっちが痛いの?」そんな疑問を持つ方は多いのではないでしょうか。実は親知らずの抜歯における痛みは、上下で大きく異なることが医学的にわかっています。

この記事では、上下の親知らずの痛みの違いを科学的根拠とともに詳しく解説し、抜歯後の経過や痛みを和らげる具体的な対処法までご紹介します。

これから抜歯を控えている方が安心して治療に臨めるよう、知っておくべきポイントをわかりやすくお伝えしていきます。

親知らずの抜歯、上と下で痛みが違う3つの理由

親知らずの抜歯における痛みは、上下で大きく異なることが医学的に分かっています。「親知らずを抜くのが怖い」と感じている方にとって、この違いを知っておくことは心の準備にもつながります。

上顎と下顎の骨の硬さが根本的に異なる

上顎の骨は薄く柔らかいため、麻酔が効きやすく、抜歯も比較的スムーズに進みます。一方で、下顎の骨は厚く硬いため、麻酔が浸透しにくく、抜歯にも時間がかかる傾向があります。

神経の位置

下の親知らずの近くには三叉神経の分枝が通っており、この神経への刺激が痛みを強く感じる原因になります。上顎には重要な神経が少なく、神経を傷つけるリスクも低いため、術後の痛みも軽度で済むことが多いです。

下顎は複雑な形状をしていることが多い

下の親知らずは複雑な形状をしていることが多く、骨を削ったり歯を分割したりする必要があるケースも多いため、処置後の痛みや腫れが強く出やすい傾向があります。

一般的には下の親知らずの方が痛いと感じる3つの理由

一般論として、親知らずの抜歯では下の親知らずの方が痛みや腫れが強いとされています。

1. 下顎の方が抜歯の難易度が高いケースが多い

下顎の骨が上顎よりも硬く、また下顎の親知らずが歯肉や骨に埋まっていることが多いことが挙げられます。

下の親知らずは、歯の根が複雑な形をしていることや、重要な神経が近くを通っているため、慎重な処置が必要です。抜歯の難易度が高いほど処置時の負担が大きくなることもあり、その分痛みを感じるケースが多くなります。

2. 術後の腫れが大きくなりやすい

下の親知らずを抜歯した場合には、フェイスラインの見た目の左右差がはっきりわかるほどに腫れることがあります。

この腫れは、親知らずを抜歯するときに歯ぐきを切開する、歯を支えている骨を削るなどした場合に、組織を修復するために起こる炎症反応が原因です。

3. 治癒期間が上顎に比べて長い

上の親知らずの抜歯後は回復が早く、上顎は血流が豊富で、組織の修復が早いため、通常1週間程度で痛みや腫れが引いてきます。

対照的に、下の親知らずは治癒に時間がかかることが多く、特に骨を削る必要がある場合、傷口が大きくなります。

抜歯後の痛みはいつまで続く？期間別の4つの経過

抜歯後の経過を時系列で見ていくと、痛みや腫れの変化がよくわかります。

抜歯当日〜翌日

麻酔が切れた直後が一番痛く、そして痛み止めは飲んでから効き目が現れるまで約30分かかるため、あらかじめ麻酔が効いているうちに指示された量を服用しておくことをおすすめします。

抜歯直後から2〜3日間が最も痛みを感じる時期で、特に術後24〜48時間以内にピークとなることが多いです。

抜歯後2〜3日目

痛みに加えて腫れがピークを迎えます。上顎は骨が柔らかいため親知らずの抜歯もスムーズに終わり、痛みや腫れも少ない場合が多いですが、逆に下顎の骨はしっかりとした骨のため、抜歯の痛みが強く出る場合があったり、大きく腫れる場合があります。

抜歯後4〜7日目

痛みは徐々に和らいできて、この期間中に腫れも引いてくるため、日常生活に戻りやすくなります。ただし、まだ完全に治癒したわけではないので、無理は禁物です。

抜歯後1週間以降

1週間程度でほとんどの患者が痛みを感じなくなります。親知らずの抜歯後に現れる痛みや腫れには個人差がありますが、およそ3日〜1週間ほどで収まることが多いです。

抜歯後の痛みを和らげる7つの実践的な対処法

抜歯後の痛みを最小限に抑えるための具体的な方法をご紹介します。

1. 麻酔が切れる前に痛み止めを服用

痛みが出てから痛み止めを服用すると効くまでに時間がかかり、場合によっては効果が薄れることもあります。麻酔が切れる前の服用が効果的です。

2. 患部を適度に冷やす

氷嚢やアイスノンで冷やすことが効果的ですが、冷やしすぎは血行を悪くして治りを遅くするので、15分程度を目安に休憩を入れましょう。

3. 頭を高くして寝る

抜歯当日は横になる時も枕を高めにして、できるだけ上半身を起こした状態を保つことが大切です。これにより血液が頭部に集まりすぎるのを防ぎ、腫れを抑えることができます。

4. 柔らかい食事を選ぶ

うどんやおかゆなど、柔らかい食事を中心にすることで、腫れの軽減に繋がります。固いものや香辛料の入った食べ物は控えるようにしましょう。

5. 激しい運動・長時間の入浴を控える

運動や入浴で体が温まりすぎないよう注意することも、腫れを抑える重要なポイントになります。血行が良くなりすぎると出血や腫れが悪化する可能性があります。

6. 禁煙・禁酒を守る

喫煙をすると、たばこに含まれるニコチンが血管を収縮させ、傷の治りが遅れるおそれがあります。また、飲酒も腫れや痛みを悪化させる要因となるため、最低でも抜歯後3日間は控えましょう。

こんな場合は要注意!すぐ受診すべき5つの症状

通常の抜歯後の経過とは異なる症状が現れた場合は、早めに歯科医院を受診する必要があります。

1. 1週間以上痛みが続く場合

適切な処置と事後管理を行えば、痛みは徐々に和らいでいきますが、1週間以上痛みが続く場合はドライソケットや感染症の可能性があります。

2. 3日目以降に痛みが急激に増す

痛みが長引く場合や、抜歯後数日してから急激に痛みが増す場合は、感染やドライソケットの可能性があるため、早めに歯科医を受診することが重要です。

3. 高熱が出る(38度以上)

発熱が起こる場合は抜歯翌日から2〜3日間程度続き、長くても1週間程度で下がりますが、38度以上の高熱が続く場合は感染症の可能性があるため注意が必要です。

4. 口が全く開かなくなる

開口障害が1週間以上続く場合や、全く口が開かなくなった場合は、炎症が強く出ている可能性があります。

5. 大量の出血が止まらない

抜歯後30分程度ガーゼを噛んで圧迫しても出血が止まらない、あるいは一度止まった出血が再び大量に出る場合は、すぐに歯科医院に連絡しましょう。

みんなが気になる7つのよくある質問

まとめ

下顎の骨は上顎より硬く、親知らずが埋まっていることが多いため、一般的に下の方が痛みが強い傾向にあります。ただし、まっすぐ生えている場合は下でも痛みが軽く済むこともあります。

抜歯前に押さえたいポイントとして、若いうちの抜歯がおすすめであること、口腔外科専門医のいる歯科医院を選ぶこと、そして抜歯後2〜3日は予定を空けておくことが大切です。

適切な処置と事後管理で痛みは徐々に和らぎますので、不安な方は事前に歯科医師へ相談し、自分に合った治療計画を立ててもらいましょう。

当院には「口腔外科専門医」が在籍しています。